デザイン料金の決め方

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デザイン料金の決め方 ヘッダー

デザイナーが独立して、最初にぶつかる問題。
デザイン料金は、どうやって決めればよいのだろうか
独立して大分経つ私でも、この問題で悩むことがある。しかし料金を決めなければ、見積もりを出せない。適当に安くすれば、後からその安い料金で、発注が続き後悔する。逆に高く言えば、せっかくの依頼を逃すかもしれない。これは個人事業主としても、社員を抱える経営者としても大問題だ。
迷った時は、単純に作業時間から換算するしかないのだろうか。

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そもそもデザイン料金は決めにくい

デザイン制作というものは、定性的で属人性の強い作業である。これは以前にも書いた。

要するに、同じ案件を発注しても、デザイナーによって同じものができることはない。また同じデザイナーでも、すぐにできることもあれば、長い時間をかけてやっとできることもある。そしてそれは、発注者の趣味・嗜好にも大きく影響される。
仕入れ価格があり、それに経費と利益を載せてというものではないし、基準の開発時間があって、1ヶ月に必要な人数を算出する人足計算でもない。
だからデザイン制作料金は決めにくい。基準があるようで、ないようで、何となくあったりする(どっちなんだ?)。

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指標となるデザイン料金とは

では世の中にデザイン料金の指標となるものはないのか。これには大昔から決定版というべきものがある。通称“アド・メニュー”と呼ばれる高額書籍で、これを一応業界では指標としている。正式な名称は広告制作料金基準表 アド・メニュー

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ただし、読んでみれば分かるが、宣伝会議が発行しているだけあり、一流の料金である。中堅以上の広告代理店やデザイン事務所以外の、個人や小さなデザイン事務所では、ここに掲載されている料金で見積もりを出しても無視されるか、鼻で笑われるだけだろう。
これは、大手だから強気に高く見積もりを出せるというよりも、大手に発注する側が、デザインの必要性・重要性・価値を理解していて、その分の対価を払ってくれるということが大きい。

例えば、会社のロゴデザイン制作に200万円の見積もりを出し、それを承諾してくれる発注者は限られる。
対して街の個人商店から、店のロゴデザインを依頼され、コンセプトを詰め、何回かのワークショップを開くので、200万円になると見積もりを出しても100%断られるだろう。そんな予算がないのは当然だし、最初から商店主もそこまで突き詰めたものを期待していなからだ。
これはどちらが良いか悪いかではない。

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独立したばかりのデザイナーの場合

今回デザイン料金に関する、いくつかの記事を読んでみた。デザイン料金の決め方として、会社員時代の給料を時給換算してみるというものがいくつかあったが、会社の正社員の手取りというものは、いわゆる可処分所得であり、それは各種保険料、税金などを差し引いた金額である。さらに言えば、会社の家賃やPCなどの機器、光熱費などの会社としての経費は社員に関係がない。まあそこまで厳密に考える必要はないのだが、実際に経費を積算してとなるとそうなる。
それに数人の小さなデザイン事務所での給料と、大手広告代理店のデザイン部門での給料では、大きな差がある。

しかし、独立したばかりのデザイナーが、在籍してきた会社の給料から時給換算するのは悪くない。独立直後に仕事をくれるのは、会社員時代に付き合いのあった企業からの依頼が多いからだ。ここで大手企業と小さな事務所、どちらに在籍していたかにより、独立後の報酬も大きく違ってくるのも事実。

うちの場合

うちの場合はどうしているか。独立前は小さな会社を転々とし、今では紙媒体からWEB、アプリまでさまざまなものをデザインしている。全てそれなりの実績や経験もあるので、そつなくこなせる。その分特定分野に特化していないので、専門家としての報酬は少ない。実はこれが最大の弱点なのだが。
そういう中で、経験のないデザイン分野を依頼された時には迷う。その場合は、類似のデザイン制作物から、どれくらいの制作時間が必要かを想定し、見積もりを出す。もちろんWEB検索して、同業者がどれくらいで請けているのかを調査し参考にする。料金を明確に載せているデザイナーは、かなり少ないのだが。
ちなみに現在、当サイトに掲載されている料金は、デザイナーとしての経験と実績、レベルからすると、標準~安価位だろう。時勢や都合によって、料金改定はしている。

余談だが、経験上広告系企業からの発注は、見積もりまたは、こちらの言い値(納品後、トラブルが起きやすい)が多い。出版社の場合は、発注段階で価格を告げてくる。これはそれぞれの業界慣習だろう。WEBやアプリ制作は広告と同じ。

デザイナーへの上手な発注の仕方

デザインを発注する企業や個人としては、できるだけ安価で、かつ効果的なデザインを依頼したいのは当然だろう。
発注したいデザイン会社のWEBサイトなどを見て、料金が公開されている場合であれば、基本はその料金で依頼する。値切りはしない。もしそのデザイン会社の実績を見て、その会社に依頼したいが、どうしても予算がないのであれば、思い切って正直に予算を告げる。ここで正直というのが大事。半額など、提示されている料金と大きくかけ離れていなければ、デザイン会社の方から、料金を下げる分、どこかの工程を簡略化するなどの提案があるはずだ。うちではそうしている。忙しく、お互いの価値観が合わずに、断ることもあるが。
とにかく相手の腹のさぐりあいなどせずに、予め予算を告げることはデザイン会社にとってもわかりやすい。

激安な予算を告げられ、たまたまそのデザイン事務所に仕事がなく、安い仕事でも引き受けることはある。しかし安価なため、デザイナーのモチベーションは下がり、いいデザインはできない。誰でも高い報酬をもらえば、やる気になるのは当然だからだ。デザイナーの中には、芸術肌の人も多く、金ではないなどと言う人もいるが、本心ではないだろう。
基本は提示されている額で発注すれば、それを請けたデザイナーも気持ちよく仕事ができる。

お互い、後から後悔しないように

案件の見積もりの依頼をされ、どうしてもその案件を取りたいので、ギリギリの料金を設定する。その結果、どうにかその案件を受注することが出来た。幸いなことに次も依頼された。しかし前回のギリギリ料金から変更することはできない。そしてこれが連続して、徐々にモチベーションと共に品質も下がる。発注者、デザイナー双方にとって不幸なことになる。
そして、デザインを評価されて受注が続いたのではなく、単に安いから受注できたことに、デザイナーのプライドも傷つく。
こんなことにならないように、多少面倒でもできるだけ適切な料金で、お互い受発注したいものである。

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