「68000とMacintosh Toolbox詳細」の装丁

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初代MacintoshのROM(HDDではない!)に内蔵されたプログラムToolboxを利用プログラミングし、アプリケーションの制作をする過程を解説した書籍の装丁依頼を請けた。いつもありがとうございます。

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制作条件

Macマニアのための本である。
判型:A5判正寸
総ページ数:470ページ(分厚い)
参考に本文一部のゲラをPDFでもらった。

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サムネイル

サムネイル
サムネイル

いつも通りゲラを読み込み、類書を調査する。初代Macintosh関連の検索もして、関連記事や関連画像にあたる。そして、思いついたアイデアを描いてゆく。特に今回は時間がなかった。

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ラフデザイン

出力し壁に貼ったラフデザイン
出力し壁に貼ったラフデザイン

初期のAppleと言えば、欧文:Apple Garamond、日本語:太ミンが標準フォントなので、それらを使用し文字を組んでゆく。また、緑から始まり青で終わるレインボーカラー、Toolbox→道具箱などをモチーフにしてラフデザインを制作した。Appleロゴのリンゴマークをそのまま使うと後から面倒臭さそうなのでそれは避ける。しかし初期Appleっぽさは出したかったので、全デザイン案の地は白で、出来るだけシンプルにまとめた。Apple Garamondと太ミンだけで組む文字組みは久しぶりだがやはり美しい。既に組み終わっている本文もこのフォントの組み合わせなので、A案が採用されるだろう。完成したラフデザインをプリントアウトし壁に貼る。ちなみに上図左からA案~E案。

デザイン決定

決定したカバーデザインのバリエーション
決定したカバーデザインのバリエーション

当初の予想通り著者の選んだのはA案だった。しかし直後「やっぱりD案で」と変更になった。D案は初代Macintosh本体を線画で描いたもので、カバーだけならそれで良いのだが、Amazonに書影が掲載された時のインパクトのなさを心配して、オビに他の案からデザインを流用した。文芸書などとは異なり、コンピューター関連書籍は書影で目立たせなければならない。文芸書はアーティスティックなデザイン、時々書名が読めないものまであるが、コンピューター書籍は実用書なので書影を見て内容がある程度分かりやすく、また想像できなければならない。
Macintoshの本であることを印象つけるために、レインボーカラーをオビに入るメイン・キャッチ・コピーの背景に大きく入れた。リンゴのマークは入れず、水たまりのようなオブジェクトを作成してその色をレインボーカラーのグラデーションにした。カバーの初代Macintoshの線画とレインボーカラーで多くの人が、タイトルやキャッチを読まなくても昔のMac関連の本ということだけは分かるだろう。

大扉

大扉
大扉

カバーデザインを4Cからスミ1Cに修正する以外、他は変更なくリサイズして完成。

本体表紙

本体表紙
本体表紙

1C指定なので、キンアカからイエローを少なくしたDIC155を指定。初代Macintoshの線画は使わず、他のデザイン案で作った斜め前方からの初代Macintoshの影イラストを背景に使用した。カバーと同じイラストの方が楽だが、ここは割りと自由にさせてくれるのでデザイナーのちょっとしたお遊び感覚。印刷入稿データはもちろんスミ1Cに変更して入稿。

カバー

カバー+オビ
カバー+オビ

他のデザイナーの制作方法は知らないが、私は初めにカバーとオビをレイヤーに分けて一つのドキュメント上で制作する。もちろんレイアウトのバランスを見るためである。一度この状態で編集者に見てもらい、一緒に文字校正もしてもらう。

カバー
カバー
オビ
オビ

編集者の確認がとれたら、カバーとオビのドキュメントを分離して、印刷入稿用データを作る。
そしてデータを編集者に送り完成。お疲れ様でした。

見本誌が到着

見本誌 カバー+オビ(表1)
見本誌 カバー+オビ(表1)
見本誌 束
見本誌 束(厚い!)
見本誌 カバー+オビ(表4)
見本誌 カバー+オビ(表4)
見本誌 カバー(表1)
見本誌 カバー(表1)
見本誌 カバー(表4)
見本誌 カバー(表4)
見本誌 本体表紙(表1)
見本誌 本体表紙(表1)
見本誌 大扉
見本誌 大扉

見本誌が到着したので早速確認した。今回も問題ない。オビのレインボーカラー・グラデーション色が、予想以上にきれいに出たのが想定外でうれしい。実はAppleロゴ本来の色(特色 PANTONE)をCMYKで指定すると、どの色も3色混色で暗くなるため、鮮やかに色が出るよう近似色の2色に修正した結果だった。

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