プロデザイナーがノーコードCMSを扱う時に考慮すること

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ロデザイナーがノーコードCMSを扱うときの注意

最近はWEBデザイナーがSTUDIO、Wix、BiNDup、JimdoなどいわゆるノーコードCMSでホームページ(WEBサイト)を制作する案件が増えてきている。発注する企業側からもコスト削減、制作時間の短縮、そして公開後もデザイナーではない社員が操作できることが求められていることから採用されているのだろう。
そのような長所がノーコードCMSにはあるが、実は制作したデータをエクスポートできないことを知っているだろうか。エクスポートできないと別のCMSや通常のHTMLサイトに移行することが難しい。ノーコードCMSでホームページ制作をするデザイナーはこのリスクをお客さんに事前に知らせなくてはならない。知らずに別の制作会社が数年後他のCMSに移行する際に大きな問題になることが実際に起っている。

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プロデザイナーがノーコードCMSでサイトを構築する機会が増えている

WEBデザイナーと名乗るには最低限HTML+CSSのコーディングができて、その上でデザインができてこそ名乗れると私は考えている。

コーディングができることを前提に話を進める。
最近はそのようなWEBデザイナーがノーコードCMSシステムを利用しWEBサイトを制作する機会が増えている。具体的にはSTUDIOWixBiNDupJimdoあたりのサービスだろうか。どのサービスもHTMLやCSSを知らなくても、見栄えの良いホームページ(WEBサイト)を制作することができるのだが、プロのWEBデザイナーがこれらを利用してホームページを制作する案件も増えている。実際5年前に私もIT企業からの依頼でWixを利用してその企業のホームページとランディングページを制作したことがある。その時の記事を以前書いた。

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サイト全体のデータをエクスポートできるのかが重要

その時気づいたことなど詳細は前述の記事に譲るが、この中でも触れているノーコードCMSの一番の短所はデータのエクスポートができないことである。ただし元の記事を書いてから時間がたっておりサービス内容も変わっているので、この部分をもう一度調べてみた。

サービス名データ・エクスポートの不可
STUDIO
Wix
BiNDup
Jimdo
それぞれのサービスにおけるデータ・エクスポート対応の不可

STUDIO: CMS記事などのSTUDIOサイトデータはエクスポートできますか?
Wix: Wix サイトを外部ホストにエクスポートまたは埋め込む
BiNDup: サイトデータを移行する
Jimdo: クリエイターサイトのバックアップについて

BiNDupのみテキストと画像データのエクスポートができるようである。
それ以外は基本的にデータのエクスポートはできない。STUDIOははっきり「できない」とリンク先に明示してあり親切だが、それ以外もはっきりとは書いていないが公式にはできないと考えてよいだろう。

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データ・エクスポートができないことの何が問題なのか

この場合のデータ・エクスポートとは、例えばSTUDIOで構築したホームページのデータをエクスポートする。そのデータをWordPressにインポートすればそのまま元のSTUDIOで構築されていたホームページを再現できるということである。
そこで何が問題かと言えば、数年たっていればホームページもリニューアルすることがあるだろう。その時に違うサービスに変更することは十分に考えられる。その場合元のホームページのデータがなければ最初から作ることになる。しかしそれでもページ数が少なければ元のホームページからテキストを直接コピー&ペーストしたり、画像のダウンロードをしたりすれば時間はかかるが対応できないことはない。完全リニューアルすることも考えられる。しかし一番の問題は時間をかけて書いた数百ページのコンテンツやブログがある場合である。コンテンツやブログは何年もかけて築いた企業の立派な資産であるからだ。SEO的にもこれを捨てるわけにはいかない。
データのエクスポートができないということは別のサービスへの移行ができないということである。

WEB制作者が考慮しないといけないこと

お客さんにSTUDIOを利用してホームページの制作を依頼された場合、短納期、低コスト、またWordPressと比較して自由度が低いことくらいはどの制作者でも事前に比較する利点としてお客さんに話すだろう。しかし知っているのか知らないのか一度制作したホームページを後からWordPressなど別システムに簡単には移行できないことを話す制作者は少ない。お客さんがSTUDIOで作ってくれと言った場合、そのお客さんがSTUDIOの広告を見て長所は知っていても短所を知らない場合は多い。データのエクスポートができないということは重要事項なのではっきりと伝えておけば後からのトラブルを防ぐことができるだろう。

納品後の利便性も考えてサービスの選定をする

この件に限らずだが、納品後の利便性を考えずただひたすら低コスト、短納期ばかりをうたい納品後は知らんぷりのデザイナーが多い。
ロゴ制作案件で解像度の低いラスター画像でしかもRGBモードでしか作っていないとする。WEB上だけで使用する分には問題ないが、後から封筒やチラシにそのロゴを使用することは十分に考えられる。そのような場合この仕様のデータは使えない。この場合ロゴ制作は拡大縮小可能で加工しやすいIllustratorなどのベクターデータで行い、RGBモードの他にCMYKモードや2値でのモノクロデータの作成も行うのが基本だ。
このような案件が発生したらお客さんにはそのようなリスクが起こり得ることを十分に説明する必要がデザイナーにはある。それをしないため後から新規にチラシの依頼を受けた場合にラスター画像でできたロゴをトレースする別作業が発生し料金も上乗せされる。お客さんにとってもデザイナーにとってもうれしいことではなくなる。
そのようなことが起きないためにもプロデザイナーであるのなら、制作作業を始めるにあたり納品後起こり得るリスクや追加作業を事前にお客さんに説明する義務があるのだ。

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