CanvaとIllustrator、Photoshopは競合ソフトなのか

スポンサーリンク
AdobeとCanvaは競合なのか

今SNSでは「Canva vs Adobe」の話題でもちきりだ。
なぜ今それほどCanvaが話題なのか理由はわからない。Canvaは日本で2017年にサービスを開始した。起業したばかりの会社、自営業者、個人店など経費が限られている人たちに使われてきたことはよく知られている。2024年5月時点のアクティブユーザー数は全世界で1億8,000万人を超えているそうだ。

スポンサーリンク

そもそもこの2つは利用者層が異なる

Canvaはデザイン制作に使うソフトだが、それはチラシや名刺などのアナログデザインのデータ制作からWEBサイトの画像やバナーデザインの制作までその利用範囲は広い。そしてCanvaがターゲットとしている利用者層は、個人や個人事業主または普段は別の業務を行っている人。簡単に言えばノンデザイナー(非デザイナー)である。

例えばこのような人がCanvaを使う

中小企業の事務担当者が月1でチラシを作る

ある中小企業の事務担当者が月1回発行する自社サービス紹介のチラシを作ることになった。事務職なので非デザイナーである。プロのデザイナーに外注することも考えたがそこまでコストをかけられない。そこで自分で作ろうと考えた。調べてみるとチラシを作るのにはプロはIllustratorというソフトを使うらしい。しかしIllustratorを習得するには時間がかかる。それ以上にサブスク料金が月1のチラシを作るにはコスパが悪い。
もう少し調べてみるとCanvaという無料のサービスがある。アプリをインストールすることなくブラウザーでデザイン制作ができて、テンプレートが豊富でノンデザイナーでも何とかチラシが出来そうだ。もちろんプロに依頼したほうが良いがこれで満足。

起業したばかりの個人事業主がWEBサイトを制作

フランス料理の店を開業する予定。プロモーションにかけるコストは最低限に抑えたい。ホームページ(WEBサイト)やSNSも充実させないといけないが金がない。
自分で作ろうと考え調べてみるとホームページはノンコードで構築できるCMSで作る。そこで必要なバナーやSNSで使うアイコンやロゴはCanvaで作っている同業者がいたので利用してみたら、自分でも簡単に無料で十分満足できるものが出来た。

Canva=非デザイナー、Adobe=プロデザイナー

このような人たちをCanvaはターゲットにしている。もちろんプロが使っても良いのだがノンデザイナーが使うことを前提に設計されている。だから誰でも簡単に操作ができる代わりにAdobeのIllustratorやPhotoshopのような高度な機能は備えていない。
やや乱暴に言えば
Canva=ノンデザイナー向け
Adobe=プロデザイナー向け


今年に入りCanvaはAdobe Illustrator、Photoshop、InDesignの実質的な競合となるAffinityシリーズを買収した。「Canvaは今でこそノンデザイナー向けだが、IllustratorやPhotoshopとの垣根がなくなりプロ照準となる」という投稿がThreadsにあったが、これはCanvaの設計思想を取り違えている。Canvaはよりノンデザイナー向けへ、Affinityはよりプロデザイナー向けへ進化すると私は推測している。CanvaをIllustratorに近づけるとより細かい操作が可能になるがその分複雑になり主な利用者であるノンデザイナーは離れてゆく。これではCanvaの存在意義がなくなる。

蛇足:CanvaによるAffinityシリーズの買収

AdobeのグラフィックソフトIllustrator、Photoshop、InDesignの実質的な競合ソフトとなるAffinityシリーズを2024年3月にCanvaが買収した。この意味を考えるとCanvaは上述したような方針でノンデザイナー向けとプロデザイナー向けの2つの方向へサービスを特化すると考えられる。

以前私はAffinityシリーズを実際に購入しプロのツールとして使えるのかをレポートした。

共にCanvaが買収する前の記事だが文字の縦組みに対応していない文字組みの設定が甘いなどあまり日本市場を意識しているとは思えなかった。Canvaの買収によりこの辺りを含め改善してもらい是非Adobeの競合ソフトとしてシェアを増やして欲しい。Adobeのソフトは嫌いではないし扱いにくいとも思ったことはない。しかしあまりにAdobeの独占市場であり価格も含め公正な競争が働いているとは思えないからである。
実はAdobeにも無料の Adobe ExpressというCanvaに近い、というか完全に競合し意識しているアプリがあるのだがCanvaの先行利益なのかあまり知られていない。
ここで懸念されるのがAdobeは競合が現れると買収するという歴史である。Macromedia DreamweaverとFireworks、Adobe XDに競合するFigmaを買収すると発表(後に断念)。それ以前も多くのソフトが買収された。CanvaおよびAffinityだけは買収をやめて欲しいと願っている。

スポンサーリンク

プロデザイナーへの発注は少なくなる

以前からデザイナーが在籍していない会社内でもExcelやWordを使いチラシなどを作っている会社もあっただろう。しかしCanvaを使えば豊富なテンプレートを使い、より簡単に美しいチラシが出来るようになった。しかもCanva内で印刷の発注までできる。こうなると今まで外注していた会社もコスト削減で外部デザイナーに発注を控えるようになる。ではデザイナーは今後どうすれば良いか。

最近Threadsのフィードでもよく見るようになったCanvaのテンプレートを作って公開しているデザイナー。これは正解。結局Canvaを使う場合テンプレート選びからはじまり、これをカスタマイズしてオリジナルデザインを制作する。テンプレートこそCanvaの肝と言える。テンプレートはユーザーの望むデザイン制作ができるプロデザイナーにこそ与えられた仕事だ。

また社内でノンデザイナーがチラシを作る。しかし「毎月改善しながら半年続けたが今ひとつ集客効果がない」。このような声が聞こえたら我々プロデザイナーの出番だ!「格好いい」「かわいい」など見た目だけを追求していたデザイナーが淘汰されるだけだ。現代では集客出来るデザインこそ求められている。デザイナーは情報を整理し、わかりやすく、正確に伝えるのが使命なのだから。商業デザイナーはアーティストではない。

Canvaでデザイン制作をしているデザイナーは注意!

Canvaでデザイン制作をしているデザイナーが増えてきている昨今、問題も発生している。
制作したデータを印刷用→WEB用であれば大きな問題は起きないだろう。しかし逆のWEB用→印刷用の場合に問題が起きる。これはCanvaに限らず昔からあるのだが、WEB用に制作したデータを後に印刷用に流用すると解像度が足りないことがしばしば起きる。
そしてこれも基本だがWEB用なのでRGBで作ったデータをCMYKにモード変換する場合である。鮮やかに作ったはずのロゴが変換後くすみ、場合によっては印象が悪くなる。

これらはプロデザイナーとして事前にお客さんには伝えておくことが必要だ。

LINEでもご質問・ご相談を受け付けています
LINEで気軽に質問!

デザインに関する、お問い合わせ、ご相談はLINEでも受け付けています。LINEでの内容は非公開、秘密厳守ですので安心してご使用いただけます。

下の「LINEで質問」ボタン、またはスマートフォンでQRコードを読み込むか、@bcn3204o を検索して米本デザインまでお願いします。

メールまたはLINEでのお問合せはこちらまで
WordPressのカスタマイズならbluetraff design
デザインソフトウエア
スポンサーリンク
フォローをお願いします!
タイトルとURLをコピーしました