DTPデザイナーがWEBデザインを習得する方法

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DTPデザインだけではこの先不安だ。そんなデザイナーも早いうちにWEBデザインを習得しておいたほうがいい。仕事も単価もWEBデザインの方が良いのだから。
では実際どうやってWEBデザインを身につければ良いのか。DTPもWEBも並行で作業している私が、あなたがWEBデザインの知識が全くないことを前提に、習得方法を解説する。

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WEBの方がDTPよりも仕事が豊富で、単価も高い

何故DTPデザイナーもWEBデザインを習得した方がよいのか?
これは単純に仕事が豊富で、単価も高いからである。

デザインを以下のように大まかに2つに分ける。
・DTPデザイン:チラシ、ポスター、書籍などの紙を媒体としたデザイン
・WEBデザイン:WEBサイト、WEBやスマートフォンのアプリなどの画面を媒体としたデザイン

世の中のDTPデザイナーと名乗る職業の人達の99.9%(当社調べ)は「あの人のデザインでなければならない。代わりはいない。」というような指名されるデザイナーではない。要するに代わりはいくらでもいる。そして今後チラシや書籍がなくなることはないが、需要は減り、WEBやアプリにシフトしているのは誰でも分かっていることだろう。DTPデザイナーでも取引先の人に「WEBデザインは出来ない?」と問われたことのある人は多いと思う。
私の場合、現在でも完全にWEBの仕事のみやっているわけではなく、DTPと並行しているので、両方の現場の雰囲気は分かっているつもりである。そのような立場から言わせてもらうと、案件はWEBの方が確実に多い。そして単価も確実に高い。単価の比較は簡単にはできないが、例えば派遣の時給をざっと調べてみるとWEBの方がDTPよりも時給が300~500円は高い。需要がそれだけあるということだ。

現在、順調にDTPデザインで仕事が取れているデザイナーも、余裕があるうちにWEBデザインを習得しておくべきなのはこれが理由だ。完全にWEBに転向する必要はない「DTPデザイナーだけれど、WEBデザインもできますよ」という状態にしておいた方が良いという意味である。特にフリーランスや自営業のデザイナーは、いつ仕事が途切れるか分からないのだから。

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DTPデザイナーのWEBデザイン習得

今この文章を読んでいる多くの現役DTPデザイナーは、ある程度DTPデザインで実績や経験を積んできた人たちだろう。そして新人というほど若くもなく、今さらWEB制作会社に就職も出来ない。しかしWEBデザインを習得したい。独学で何度か挑戦してみたが挫折してしまった、という人が少なくないはずだ。
では、そのような人たちは何からどのように始めればよいのだろうか。一番早く確実なのは、やはりバイトでも良いのでWEB制作会社に勤め、実践の中で習得することだ。しかし現実的にはフリーランスであれば、今請け負っているDTPデザインの仕事があるだろうし、結局独学しかないのが現実だろう。
そこで以下概略程度だが、DTPデザイナーだが全くWEBデザインの知識がない人を前提として、最低限身につけておきたいWEBデザインに関することを順に書き出してみる。

  1. なるべく簡単なHTMLとCSSの書籍を購入し基本だけで良いので学ぶ
  2. レスポンシブ・デザインについて学ぶ
  3. Flexbox(フレックスボックス)について学ぶ
  4. WEBブラウザーのデベロッパー・ツールの使い方を学ぶ
  5. 自分のWEBサイトを制作してみる

1.HTMLとCSSを学ぶ

基本。HTMLが骨格で、それに対してCSS(スタイルシート)で装飾、肉付けしていく。学ぶには薄く説明が簡易な書籍ほどいい。網羅していなくてもよい。現場で分からないことがあっても、WEBで調べれば大体分かる。現役WEBデザイナーでも、HTMLやCSSについて全てを知っている訳ではないし、WEBの世界は常に進化しているので、今日の知識は明日寂れていることは日常茶飯事であるのだから。

2.レスポンシブ・デザイン

これは「1.HTMLとCSSを学ぶ」に含まれるのだが、重要なので別項とした。
現在、WEBデザインをするに当たってはPC、タブレット、スマートフォンの3つの画面を制作することが主流である(またはPCとスマートフォンの2つの画面)。当然この3つのデバイスそれぞれにユーザーが見やすいようにレイアウトする。その場合、HTMLは1つで、CSSによってそれぞれのデバイスに適切なスタイルを指定するのが、レスポンシブ・デザインである。スマートフォン登場前から活躍している古参WEBデザイナーで、レスポンシブ・デザインに対応できない人がたまにいるが厳しい。

3.Flexbox(フレックスボックス)

これも「1.HTMLとCSSを学ぶ」に含まれるのだが、重要なので別項とした。
これは5年前くらいから浸透してきた、レイアウトに関するCSSである。これもちょっと古参のWEBデザイナーには知らない人が結構いる。知っているのと、知らないのとでは作業効率が全然違うのでこれも今や必須。また複雑なレイアウトもFlexboxを使えば簡単に出来てしまう、レスポンシブ・デザイン時代には必須の知識だろう。全然難しくないのもいい。

4.デベロッパー・ツール

盗むのが一番速い技術の身につけ方だ。他のWEBサイトではよく使われているが、一体どのような仕組みになっているのだろうか。それはHTMLやCSSのソースを見ただけでは分からない。そこで現在主なWEBブラウザーに、標準で装備されているデベロッパ・ツールを使う。自分で制作しているWEBサイトの不具合を見つける場合にも必要。現場でエンジニアを含め、デベロッパー・ツールを使えない人はいない。

5.自分のWEBサイトを制作する

1から4まで学び、最低限のWEBデザインに対する知識が付いたら、自分のWEBサイトを制作してみる。印刷結果を待たなければ結果が分からない、DTPデザインと異なり、結果がすぐにブラウザーを通して分かるのが、WEBデザインの敷居の低さであり、良さである。
あとは無料で知り合いの店のWEBサイトを作る。無料なので依頼者も文句は言えない。または激安だがクラウドソーシングでWEBサイト制作を請け負う。激安だが一応公式な取引なので、いい加減な仕事は出来ないが、多少未熟でも許してくれるだろう。激安なので相手も無理は言えない(だろう)。

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使えないWEBデザイナー

これまで述べてきたことは、デザイン面ではなくコーディング(コードを付け加える)面だけである。WEBデザインは初心者でも、これまでDTPデザインの実績・経験がある人であれば、WEBデザインでもレイアウトの法則や色の選択など大きく異なることはない。そういう意味では、DTPデザインの経験がない、全くの素人から始めるWEBデザイナーよりも有利であることは確かだ。

しかし、時々いるのがHTMLやCSSの知識が全くない、コーディングができないWEBデザイナーである。詳しく尋ねたことはないが、彼らは元々DTPデザイナーであり、何かの切っ掛けでコーディングなしのWEBデザインを依頼されたことから、WEBデザイナーを自称するようになったようである。
私自身、何度かこのようなWEBデザイナーから渡された、PhotoshopやXDで作られたデザインデータを元に、コーディング作業をしたことがある。これはPhotoshopもIllustratorも使えない人が、紙に書いた絵を忠実にこれらのアプリでデータ化してくれと言っているようなもので、デザイン上どうでも良い部分でコーディングに非常に時間がかかり苦労した。さらにレスポンシブ・デザインとなると一層困難を極めた。HTMLやCSSの知識があるWEBデザイナーは、コーディングをするコーダーに作業しやすいように適切なデザインを渡すのが常識である。

また、WEBから集客しているDTPデザイナーで多いのが、WordPressでの制作に限定しているデザイナー。これもWEBデザイナーとは言えないし、WEBデザインが出来るとも言えない(まあ自称だから何と名乗っても自由なのだが)。
WordPressでのWEBサイト制作はある程度の需要はある。しかしそこでHTMLやCSSの知識がなければ、依頼者による少しの改変も無理となる。

WEBとDTPのデザイン面での違い

DTPデザイナーは基本的なレイアウトや色の知識はあると書いたが、WEBとDTPの大きな違いは、動くか動かないか、そしてWEBはインタラクティブだということ。ユーザーは紙面とは異なり、ボタンを押したり、検索したりする。それらが特化した形で近年WEBデザインという大きな括りから、UIデザインやUXデザインが出てきた。
しかしこれは後から学べば良いことで、HTMLとCSSのコーディングが出来ることが大前提である。

余談だが「チラシも作ります」というWEBデザイナーがいる。今まで述べてきたことと逆だが、これもやはり専門でなく、ただPhotoshopとIllustratorが使えるから、チラシのデザインも出来ると言っているデザイナーが多い。文字詰めは甘いし、当然特色版の作り方など知らない。WEBとチラシの見せ方は大きく異なるので、専門のデザイナーには当然及ばない。

これから需要が増えるWEBやアプリのデザイナー

現在エンジニア不足ということを聴いたことがあると思うが、今後WEBやアプリのデザイナーも不足すると予想している。
WEB制作業界で活躍している多くのWEBデザイナーは、主にコーダーがデザイン知識を持っているという感じで、私のようにあくまでデザインが主でコーディングも出来るデザイナーは少ない。また作業が細分化されている大手は別として、中小企業等の依頼者は、WEBに関しては未だデザインを軽視している。正確に言えば見た目が格好良ければそれで良く、実際にそのWEBから集客出来るかどうか、ユーザーにとって使い勝手が良いか、情報が探しやすいかなどの機能的な部分のデザインは重視していない。しかしそれも今後変わってくる。WEBデザインがより重視され需要が高まると予想される。
そこで基本的なデザインの知識・経験がすでのあるDTPデザイナーの登場である。現状の仕事をこなしながらの、WEBデザインの習得は厳しいとは思うが、年々減少するDTPデザインの仕事の保険と思って是非身につけて欲しい。身につけて損はしないはずだから。

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