レコードや本に付いているオビは、何のためにあるのか

今まで制作した様々なオビ

先日、高額な書籍を購入した。函入り、ハードカバー、本体表紙タイトル文字は銀箔押し、864ページ、厚さ47ミリ、オビ(帯)付き。この装丁だけでも愛蔵版とも言うべき書籍だ。
大手ECモールの大手ショップから購入した。届いたので早速読もうとしたら、オビに10ミリほどの破れがある。ショップに連絡しようかしまいか少し考えた。1度読んだら書棚行きのビジネス書の類であれば我慢の範囲だが、高額な価格と、何度も読み返すだろう事を考えると、やはり交換してもらおうと連絡をした。しかしその希望はかなえられなかった。オビの破損は交換対象ではないのだった。

オビは日本独特の様式

レコード、CD、書籍にある日本独特の付属品。海外の物にはほとんど付いていない。海外アーティストのオリジナル盤には付いていないが、その日本盤には付いている。これは書籍も同じ。
そんなオビ(帯)とは何なのか。何のためにあるのか。
キャッチコピーなどの売り文句が書いてあり、カバーや書籍本体の上に巻いてある紙片。
いつ頃から付けるようになったのかは分からないが、おそらく書籍の方が先だろう。
ちなみにレコードのオビは海外でも「OBI」で通じる。

レコード・ジャケットや書籍のカバーのデザイン機能はパッケージ・デザインに近いし、オビはPOPやチラシに近い広告物。一体になっているが、その機能は異なる。
単なる付属品なので、商品の一部とはみなされないのが一般的。
だから破れていても、傷がついていても、最悪オビが無くても、その商品は欠陥品ではなく、オビが付いているものと同価格の正規品である。しかし現実的にはレコード、CDと書籍とは少し事情が異なる。新品のレコードやCDにオビがなければ、それは欠陥品なので交換してくれる。しかし、新品書籍の場合、オビがあってもなくても同価格で売られている。

制作側からのオビ

制作側からすれば、オビとはどのようなものなのか。音楽ソフトと書籍のオビに入れる要素は、機能が同じなので、配置する要素も同じ。表1にはキャッチコピーや発売元の情報、価格などを配置し、束(背)にはタイトルとアーティスト名/著者名、表4には、トラックリスト/目次などを配置する。基本的にジャケット/カバー・デザインがある前提なので、ジャケット/カバー・デザインに合わせたレイアウト、例えば、アーティストの顔やジャケット/カバー上の重要な要素が隠れないように気を付け、色合い、文字の扱いを考慮しながらデザインする。
オビはジャケットやカバーに比べると面積は小さいが、配置する要素が多く、デザインするには文字組みにも気を使い、制作時間のかかる作業である。デザイナーは、購買意欲を誘うようなオビ作りを目指す。

ジャケットやカバーは、作る者の作家性が強いが、オビはそれほどでもない。しかしデザイナーなどの制作側からすれば、オビを付けた状態が完成品であると認識している。
レコード会社の担当者や編集者はどうなのか。聴いたことはないが、ECサイトなどに掲載されている画像を見ると、CDも書籍もオビは付いていない。やはりオビは、付いていなくても問題ない付属品なのだろう。

購買者側からのオビ

私はシリアスなコレクターではないが、性格的に物を所有し集めてしまうため、オビは付いている状態が完品との認識を持っている。だから本屋の店頭で、同じ書籍でもオビの付いているもの、付いていないものがあれば、断然オビの付いているものを求める。CDはシュリンクを施されているので、新品であれば必ず付いている。
これがECサイトで、書籍を購入する時代になり事情が変わってきた。
書籍にオビが付いていても、付いていなくてもそんな事はサイトの説明に書いていないのが普通で、書影もオビなしのカバーだけのものばかりで、オビが付いているのか付いていないのか判断が付かない。オビの有り無しを問い合わせたことはないが、問い合させたところで教えてくれないだろう。販売側からすれば、どちらも同じ商品なのだから。
一度、全てのECサイトで売切れていたため、直接出版社に連絡して、書籍を買いに行った事がある。手渡された書籍にオビは付いていなかった。欠陥品を買うようでいい気持ちはしなかったが、連絡して出版されてそれほど時間が経っていなければ、余程のことがない限りオビは付いている。しかし時間が経っていると、オビなし書籍が普通に送られてくる。カバーとオビは同時に印刷するので、どちらかが足りないという事は通常無い。倉庫などでの入れ替え中に、オビを破損してしまい、ひどい場合には破棄してしまうのだろう。だから本来付いているはずのオビがない、カバーだけの書籍が売られている。冒頭で書いた、高額書籍も店での商品入れ替え中に破れてしまったのだろう。

オビの価値

中古市場では、音楽ソフト、書籍双方ともオビの有り無しでは明らかに価値が違う。当然オビ有りの方が高い。音楽ソフトの場合、30年位前はオビの有り無しで、それほど価値の差はなかった。しかし、日本よりも先に海外のコレクターが、日本盤レコードのオビの有り無しの間に価値を見出してから、それが逆輸入され現在に至る。レコードやCDの場合、オビの有り無し、またオビの種類によって、その価値は大きく異なる。ちなみに私はそれ以前から、オビの有るレコードと、無いレコードが同時に売られていた場合、数百円の違いであれば、オビ有りを購入していた。

これからのオビの管理

オビの有りなしに全くこだわらない人が大半だろうが、こだわる人が多くいるのも確か。
新品音楽ソフトの全てはシュリンクが施され、またはビニールの外袋が付いているので、オビが破損することはない。
問題は元々オビ付き書籍の場合で、必ず付いていなければならない、破損していてはならないという事になると、ただでさえ本が売れなくなっているのに、一層管理が大変になる。しかしこだわりがある購入者にとっては、オビが破損しないように管理はしっかりして欲しいと思うのだが、オビと言うものは形態上破れやすい場所に付いている。さらにデザイナーのこだわりで、トレーシングペーパーのような、薄く破れやすい紙を使用している事がある。これは扱いに困る。

こだわりの書籍購入者からの提案として、高額な本は全て音楽ソフトのようにシュリンクを施して扱ってはどうだろうか。これなら余程雑に扱わない限り、オビの破損はないし、中身を汚す可能性もないし、安心して購入できるだろう。

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