ChatGPT以前からAIを牽引してきたのはGoogleであり、それをチャットという誰でも容易に利用できるわかりやすいUIで提供したのがChatGPTの開発会社OpenAIであった。現在OpenAIに対抗できる唯一の企業はGoogleである。そしてGoogleは生成AIを自分のプログラムで利用するためのプラットフォームとして用意したのがGoogle Cloudの Vertex AIである。
そのGoogle Vertex AIの生成AIに限った解説とオリジナルのウィジェットを作り実装するまでの説明をしたのが本書である。そのよう書籍の装丁を担当した。
仕様
- 判型:B5変形(182✕230ミリ)
- 色数:4C(本文は1C)
- ページ数:292ページ
- 束幅:17.4ミリ(カバー、オビ)、16.9(本体)
- 対象読者レベル:中級者向け
サムネイル
思いついたアイデアを描く。事前に「最新のGemini Proに対応!というコピーをシールっぽく入れる」と指定があったので頭に入れておく。
- これまで装丁制作した同じ著者である掌田津耶乃さんの著書 「Power Appsではじめるローコード開発入門」 「Office Scriptによる Excel on the web 開発入門」 「Power AutomateではじめるiPaaS開発入門」で制作した中上級者向けの硬めのデザイン案。
- Vertex AIが提供する機能 PaLM2、Generative AI Studio、モデルガーデン、Google Plat Form、EmbeddingのそれぞれをVertex AIを中心に枝葉のようにつなぐデザイン案。
- AmazonなどのECサイト上で書籍タイトルがはっきりと視認できるようにしたデザイン案。
- Vertex AIの公式サイトでの説明にあるUIデザインでのトグルスイッチをモチーフにしたようなオブジェクトを組み合わせたデザイン
以上のようなアイデアをサムネイルとして描いた。またVertex AIの公式ロゴマークも利用する。
サムネイル制作の途中で今回オビはなしとの連絡が入ったので、カバーにいつもオビに入れるキャッチコピーとなど文字要素を入れることを考えながらサムネイルを描く。
ラフデザイン
- これまで担当した同じ著者・掌田津耶乃さんのデザインを踏襲し同じ著者の書籍だということを認識させるような案
- ECサイトのサムネイルで「Vertex AI」の文字がはっきり視認できるような案
- Vertex AI公式サイトにあるトグルスイッチをモチーフにした図形を採り入れた案
以上3点のラフデザイン案を制作し提出した。いつも通りラフデザインとは言ってもほぼ完成している。
結果「Vertex AI」の文字が大きい「ECサイトのサムネイルで『Vertex AI』の文字がはっきり視認できるような案」案に決定した。
ECサイトにおける書影の表示を意識する
上図は実際にAmazonで弊社が担当した書籍の一覧をリスト表示したものだが、書籍の多くがECサイトで購入されることを考えるとデザイナーは書影、とくにタイトルの視認性を考慮するべきだろう。
本大扉デザインの制作
カバーのデザインが決定したので、本を印刷順番にしたがいまずは本文の大扉を制作する。
4色で制作したカバーデザインの色を、今回本文はスミ1色なので見やすいように色の変換とレイアウトのリサイズを行う。背景に敷いたVertex AIのロゴマークをカバーデザインのままグレースケールに変換すると暗いのでかなり明度を上げる。このあたりはディスプレイで見るとかなり色が異なるので実際にプリントアウトして確認することが必要。今回も何度もプリントアウトを繰り返し調整した。
本体表紙デザインの制作
カバーの地色が黒なので同じ黒でも良かったのだが、ここは反対に地色を白にした。カバーには地紋と敷いてあるVertex AIのロゴーマークは1色にした場合タイトルの視認性が落ちるため小さくしてタイトルの下に配置した。これはカバーにあるキャッチコピーがなくなり余白が出来てしまうことを防ぐ意味もある。またタイトル部分自体もカバーよりも縮小してある。ECサイトに掲載されたときの書影など気にしないてよいので適切な大きさに調整したためだ。
カバーデザインの制作
先述したように「ECサイトのサムネイルで「Vertex AI」の文字がはっきり視認できるような案」に決定した。
タイトルにはGoolgeフォントを使い公式に近いものを作った。グラデーションを含む文字色も公式を意識している。タイトル「アプリケーション開発」部分には公式にあるトグルスイッチのデザインを採り入れた。
背景にはVertex AIのロゴマークをタイトルに邪魔にならないように薄く敷く。
今回オビがないのでカバー表1にはキャッチコピー、表4には目次を入れる。
「最新のGemini Proに対応!」というメインキャッチコピーは当初シール状にという指示があったので、この案では目立つように背景にグラデーションを敷き、あえて目立つように不定形の四辺形で囲んだ。
表4には目次を入れたのだが見出しの「本書の内容」と「Chapter◯」部分はやはりトグルスイッチを模したパーツでレイアウトした。
全体的に何となくAIっぽい雰囲気は出ていると思う。
カバーの表面加工はマットPP加工。
見本誌が届く
見本誌が届いた。
想定通りのデザインにできていて安心した。
まだChatGPTのブームが始まって1年ほど。Goolge Vertex AIをつかってアプリケーション開発を考えている人は本書を1冊手元に置いておいてはどうだろうか。