先日以下のようなツイートをしました。
最近デザイナーのキャリアも大分変化したと思い、上記のようなツイートをしたわけですが、これをもう少し詳しく書いてみます。
ただでさえ年齢を経るごとに仕事が減少してゆくフリーランス(自営業)のデザイナーにその人の唯一無二の価値感である“アーティスト活動”をする事は考えられなかった訳です。それがSNSやブログを書くなどのオウンド・メディアを利用したコンテンツ・マーケティング活動により変化した部分が大きいと思いますが、そのデザイナーにしか依頼することの出来ない代わりがいない存在、いわゆるアーティスト活動が大分容易になったのです。それは以前と最近のデザイナーのキャリア・デザイン(デザイナーのキャリア・デザインというのもわかりにくい表現ですが…)が大きく変わった事でもあります。
ここでフリーランスというのは自営業と同義語だと考えています。最近デザイナーが独立したとTwitterでつぶやいていて内容を読んでみると独立したと言っても特定の企業内に机を借り、決められた時間に出勤退社し、その企業から仕事をもらっているというパターンが実に多いです。他企業の仕事も出来ず、営業活動もできず、好きな時間に仕事ができない、これは使っている企業には都合のよい常駐の受託案件以外の何物でもなく独立とは言えないでしょう。
以前のデザイナーのキャリアとは
デザイナーと一言で言ってもファッション・デザイナーやプロダクト・デザイナーなどいろいろありますが、今回は私の職業でもあるグラフィック系、紙媒体またはWEB系のデザイナーについての経験を元に書いてゆきます。
デザイナー業界もWEBの登場以前と以後では大きく様変わりをしたわけですが、キャリアという部分ではそんなに変化はないと思います。そしてデザイナーと言っても社員デザイナーや会社を作り経営者となるデザイナーもいますが今回の話題はフリーランス・デザイナーに絞ります。
フリーランス(自営業)・デザイナーのキャリアは厳しい道
デザイン系の大学、専門学校を卒業、または未経験からデザイン事務所などで働く
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デザイン事務所(制作会社)、広告代理店や印刷会社のデザイン部門に入社
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何社か転職
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過去に在籍した会社から仕事をもらいとりあえず独立
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そのままフリーランサーとして一生仕事を続けるか、
または仕事がなくなり社員デザイナーに戻る
フリーランス・デザイナーが一人で仕事をしていても40代はまだ良いのですが、50代、60代になると仕事が減ってきて、また新規営業先の獲得は厳しいと思われます。信頼関係のある企業の現場担当者から継続して仕事をもらっていても現場担当者はいつかは出世し現場を離れます。その時にうまくその後継担当者に引き継ぎが出来ていれば問題ありませんが、それにも限界はあります。後継の担当者には独自のネットワークがありその中の知り合いに依頼したほうがやりやすいという理由もあるでしょう。 また長年続けていても単価は上がらないのが普通で下がることは十分にありえます(経験あり)。その上常に新たなフリーランス・デザイナーは出てくるので単価が安く扱いやすければそちらに発注が移るのも自然な流れでしょう。
デザイナーの多くはいわゆる営業が苦手です。また他人の広告制作などのプロモーションは得意ですが、自己のブランディングやプロモーション、新規営業開拓はとても苦手です。まあ私の事ですが。フリーランスのデザイナーを続けていると厳しい現実が待っていると言わざるを得ません。
最近のデザイナーのキャリア
これはTwitter辺りを見ていると最近良く見るパターンですが
デザイン系の学校を出ていない
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特にデザイン事務所や代理店、制作会社などで深くデザインの仕事をしたわけではない
または全くのデザイン仕事未経験
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デザインとは関係ないバイトなどをしながらオウンドメディアの構築(ブログを書く)をしてSNS(特にTwitter)で拡散をしながらコンテンツ・マーケティング活動
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少しづつ認知度が上がり、SNSやブログ経由で仕事の依頼が増える
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そこそこ儲かるようになり当座の生活の心配はなくなる
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依頼されるデザイン仕事はいつまで続くか分からないし作業量の割に報酬は少ないし、結局いくらでも代わりが効く仕事なので、その人でないと成立しない唯一無二の作品を作ろうとする
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アーティスト活動開始
これはブログやSNSがないと成立しない過程で最近このようなキャリアの人がとても増えています。しかし未経験の状態でデザインの仕事が来るわけもなく、元々ものすごくデザインが好きだとかセンスが良いだとか才能があるのかもしれません。多くの苦労をし勉強してデザイン制作を身に着けた人も知っています。しかしそういう特別な人でなくても簡単ではありませんが成立するキャリアではないでしょうか。
オリジナルデザインのTシャツを作って売り出したら売れたり、今までプロとしての経験がない動画を作ってTwitterで公開したら反応がものすごいことになったり。これらの人はいきなりアーティスト活動を始めたのではなく、全く無名の状態から地道にゆっくりとブログを書いてTwitterで拡散してを繰り返しブランドを確立して名前で仕事が取れるようになってからアーティスト活動を始めています。ちなみにネット以前でこの手の有名な例は横尾忠則さんです。グラフィック・デザイン分野で有名になり後にアーティスト宣言をして現在は絵画を描いています。
今後フリーランス・デザイナーはこのキャリアを参考にするべき
デザイナーが会社を辞めて独立しても始めのうちは仕事がなんだかんだ言ってもあるのです。しかし10年、20年と続けてゆくと上述のように普通は仕事が減ります。それではフリーランスデザイナーは今度どうしてゆけば良いのか。少し前までは新規の案件を取り続け仕事を増やし、会社を作り人を雇い経営者になるのが一つの答えでした。それ以外は私の知る限りデザイナーを辞めるか社員デザイナーに戻るかですね。しかし今新たなそれ以外の道の一つがアーティスト活動を始める事ではないでしょうか。そしてアーティスト活動を始めるにはブランドを確立してからになります。これが最も難しい事なのですが。
特に自己表現したいものはないデザイナーはどうすれば良いのでしょうか。私はデザイナーという仕事が嫌いではありませんむしろ好きです。しかし注文もないのに何かを作り自己表現したいほどデザインが好きではありません(依頼してくれる人たちには悪いのですが)。そういう意味ではデザイン分野のアーティスト活動は今の所するつもりはありませんししたいとも思っていませんが、何かしなければと常に考えています。本当は音楽制作をしたいという思いはありますが、デザイン分野でブランディング出来て知名度が上がっても畑違いの音楽制作でアーティスト活動するのは無理です。なので出来ればデザイン分野で何か考えます。いつかくるその日のためにこうやって地道にゆっくりとブログを書き自己ブランディングをしながら。