ひどいデザインが上がってきた! さてどうする?

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作業を途中でキャンセルする方法

デザイン制作をデザイナーに発注した。しかし上がってきたデザインは想像していたものと大きく異なり、その後修正依頼をしても期待したものができる可能性が低くキャンセルしたい。どうすれば穏便にデザイン制作を途中でキャンセルできるだろうか。工程ごとに割合を決めて支払うようにすればトラブルは起こらない。

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使えない成果物が上がってきたのでキャンセルしたい

先日Threadsで以下のような投稿を見たので引用をした。

Threads

この発注者はどうにも納得できない成果物が上がってくることがあり安価な場合であれば全額支払うが、高額になると納得できない成果物に全額を支払うのはキツイということだ。私は主に受注側だが発注者の気持ちもわかる。

例として中小企業の広報担当者が個人事業主であるWebデザイナーに自社Webサイトの制作を依頼した場合を考えてみる。

担当者
担当者

あなたのWebサイトにある実績(ポートフォリオ)を見て素晴らしいと思いました。
是非うちのホームページをデザインしていただきたいのですが。
お願いできますでしょうか?

デザイナー
デザイナー

ご依頼ありがとうございます!
貴社のWebサイトの制作をお請けいたします。

デザイナー
デザイナー

どのようなWebサイトをご希望でしょうか?

担当者
担当者

〇〇○のような明るいイメージで
□□□な機能を追加してください

デザイナー
デザイナー

承知しました。
ラフデザインを2週間後にお送りします。


2週間後

デザイナー
デザイナー

ラフデザインができましたのでお送りします。

担当者
担当者

後ほど確認してお返事を差し上げます。

担当者
担当者

さて、どんなデザインがぁ~
出来上がったかなぁ~

担当者
担当者

これは……!
全然こちらの意向を汲んでいないじゃん。
ここまでずれていると修正依頼しても無駄だな。
社内会議でも評判が悪いしキャンセルするか。

担当者
担当者

さて、どのようにしてキャンセルしようか。
完成していないのに全額支払うのは厳しい。
できれば穏便に済ませたいのだが。

担当者
担当者

すみませんが、意図していたデザインと方向性が大きく違うので
制作途中ですがキャンセルさせてくださ~い。
3万円だけお支払いしますので、また機会がありましたらよろしくお願いします~。

わっかりました~
またよろしくお願いします。

デザイナー
デザイナー

冗談じゃない!
ここまでの作業にどれだけ時間をかけたと思っているんだよ!(怒)
3万円なんかじゃ全然足りね~し。

と、まあ勝手に3万円と決められて終わり。納品されていないし途中だからという理由で最悪支払いが行われないこともある。発注者も受注者もお互いこのような場面に会った人は多いのではないだろうか。双方共に気分は最悪である。

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双方の立場 どちらが悪いわけでもない

これには双方言い分がありどちらが悪いというわけではない。

発注者の立場
注文前に実績やWebサイト、SNSでの投稿を見て求めている雰囲気に近い作風のデザイナーを見つけた。これならいけるだろうと注文をする。想定している成果物に近いものができるだろうという過去の実績から期待があるからだ。しかし時には発注者の思っていたものとかけ離れた成果物が上がってくることもあるだろう。第三者の実績を自分の実績としてSNSでずうずうしく喧伝しているデザイナーもいるのでこれはありえる。通常ならラフデザインの後、修正依頼をして発注者の想定しているものに近づけるのだが、それもできないほどかけ離れたものが出来上がってくる場合がないとは言えない。そのような場合、全額ではなく今まで作った分の支払いだけをして終わらせる。いわゆるサンクコスト(埋没費用)だ。これが正しい。もちろんキャンセルが行われないようにすることが一番よいのだが。気に入らないものに全額を払うことは経営上の判断としても間違っている。

受注者の立場
制作途中でキャンセルを受けると金銭的なものとプライドもあるので精神的なダメージが大きい。しかし発注者が修正案を受け付けないほど気に入らないのであれば受け入れるしかない。それならば最低でもキャンセルされるまでの作業量分の対価は支払ってもらいたい。

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工程ごとに区切り、そこまでの料金を払う

双方遺恨なく円滑にキャンセル処理を行う方法の一つが、作業前に交わす契約書にキャンセル条項を記しておくことである。各工程ごとに区切り、そこでキャンセルしたら支払う総額からのパーセンテージを決めておく。
例えば、

  1. 正式発注後は作業が発生しなくても→50%
  2. ワイヤーフレーム制作後→70%
  3. ラフデザイン制作後→80%
  4. デザインカンプ完成後→100%

こんな感じでパーセンテージを決めておく。これは珍しいことではなく外資系企業との契約書にはよくあることだ。以前外資系出版社からブックデザインの仕事を依頼された。作業途中にその出版社が日本市場から撤退することになった。その本の出版も中止になったが、作業前に交わした契約書に書かれていた通り報酬額の60%が私に支払われた。結果世の中に出ることはなく残念だったが事前の契約が履行されお互い気持ちよく終えた。この例はキャンセルとは少し違うがトラブル防止には有効な手段であると実感した。

それからは私もキャンセル料が発生することをWebサイトにも追加するようにした。
キャンセルについて

上の例で“正式発注後は作業が発生しなくても”キャンセル料が発生する部分に反感を覚える発注者がいるだろう。「作業が発生していないのに何で金を払うのか」と。実質作業がなくても、作業を行うために打ち合わせをし、その作業のために時間を確保する。他の仕事の依頼があっても断ることがある。ここで機会損失が生じるのだ。デザイナーは仕入れがない分、他業種の人にはわかりにくいのかもしれない。

本来キャンセルはないほうがいい

ここまで途中でキャンセルする場合、その時点の工程までの作業量を支払うことで解決することを書いた。しかし本来ならキャンセルはない方がいい。キャンセルをした場合、発注側はキャンセル料を払わなければならないし、別のデザイナーを早急に探さないといけない。受注側もキャンセル料を受け取ったとしても、自信を持って制作したデザインが否定されると深くプライドを汚される。

キャンセルが発生しないように丁寧なヒアリングを行い、修正可能なワイヤーフレームやラフデザインの段階で発注者は適切な修正点を伝え、デザイナーもそれに真摯に向きあう姿勢が必要である。契約書に入れるキャンセル事項はキャンセル自体を発注者に思いとどまらせる意味もある。

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