何でも1つのものに頼ると危険という話

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何でもそうだが、一つの物や事に注力や固執し過ぎると、それが失われた時に大きな損失を生じる。物事は諸行無常、永遠に続くものなどない。しかし、物事が上手く進んでいると人はそれを忘れていまう。それは、ECサイトや投資はもちろんBtoBにも及ぶ。

先日、象徴的なニュースがあった。

Uber Eatsが配達員の報酬額を下げるという報道。元々Uber側が永久に報酬額を維持するとも上げるとも言っていないわけで、下げられた配達員としてはもちろんいい気分はしないだろう。しかしこれはプラットフォーマーであるUberに従わざるを得ない。嫌なら辞めるしかない。そういう契約なのだから。

ふるさと納税制度で不正があったため、制度の利用が中止になり、その下請け業者がそのために仕事がなくなり廃業したという報道。ふるさと納税の仕事でこの会社は成り立っていたため、突然仕事がなくなり廃業せざるを得なかったのだろうか。

いずれの場合も収入源を一つだけにして、そこからの売上だけで成り立っていた。特に後者は相当儲かっていたようだ。その収入源がなくなったらどうしたら良いのか考えなかったのか。減額されたり、取引自体がなくなったりとは思わなかったのだろう。サラリーマンではないのだから甘すぎる。いや、サラリーマンでも近頃は業績不振により、リストラされる事はある。

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ECの場合

楽天やAmazonなどのECによるプラットフォーマーの方針転換による、手数料のアップやサービスの改悪などは良く聴く話である。これは典型的なプラットフォーマー依存で、プラットフォーマーによる方針転換に、その利用者は逆らう事はできない。嫌なら契約を打ち切ればいい。そうは言っても、そのプラットフォーマーからの売上が全体の5割、下手をすれば7割8割なんて言う企業もあり、会社の存続にまで影響することから、泣き寝入りをするか、意味のない団体を結成し交渉したりするのである。

ではこの場合はどうすれば良いのか。ECに特化していたり、最適化された商品やサービスであれば、自社ECサイトを構築して運用するのが一番良い。
もちろん制作会社などに依頼して、ゼロから自社ECサイトを構築し運用し、そこから売上が上がれば一番いい。その代わり数百万円単位の構築費は覚悟しないといけない。広告やSEO業者やSNS運用などのコンサルタントも受けなければならないので、その費用も必要になる。プラットフォーマーであるECモールに出品すると言うことは、そのプラットフォーマーに宣伝してもらっているということを忘れている出品者は多い。月額使用料に宣伝費も入っている。
数百万円も金がないという業者は、ECプラットフォーム・サービスを使用すれば良い。これもShopifyのような有料サービスから、Baseのような無料で利用できるサービスまである。運営費は大分安くなるだろう。しかしこれらのサービスもまたプラットフォームである事を忘れてはいけない。いつ費用が上がるのか、サービスが改悪されるのか、最悪サービス自体が終了するのか分からないからだ。

ではECサイトの運用は何が最適解なのだろう。それは投資と同じくリスクヘッジするために分散する事だ。中小企業や個人事業主であれば、大手ECモールやネットオークションで出店しつつ、ECプラットフォームを利用し、自社ECサイトも同時に運用してゆく。将来は自社ECサイトだけを運営できるようになるのが理想だろう。
要するに一つのECモールに注力し、そこからだけの売上に依存することが一番良くない。

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デリヴァリーサービスの場合

皮肉にもコロナ禍が追い風になった、飲食店のデリヴァリーサービス。ここでは、料理の配達人と料理を提供する店にプラットフォーム問題が生じる。
冒頭のニュースにもあるように、プラットフォーマーであるウーバーイーツは、配達の報酬額引き下げを予定しているという。そうなると困るのがウーバーイーツの配達でのみ生活をしている人達。また客席を持たず厨房のみの、出前だけで営業しているいわゆるゴーストキッチンも、ビジネス街のランチ営業がその日の売上のほとんどだった店は、自粛の影響でビジネス街に人がおらず閉店したという話も聴く。ゴーストキッチンでなく、普通に客席がある店でも、デリヴァリーサービスにより売上の多くを占めている所は、ただでさえ30%を超える手数料がいつ上がるか、サービス自体が改悪されないか不安だろう。

今後どうすれば良いのか。配達員はデリヴァリーサービスを一時的なものとしてやるか、他の仕事も並行してやる事が必要。飲食店は、複数のデリヴァリーサービスを利用するか、出来れば全て自店舗で配達や持ち帰りが出来るようなシステムを構築するしか無い。

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B to Bの場合

これも冒頭のニュースで顕著なのだが、取引先は5社以上の複数社としたほうが良いというのは昔から言われていることである。1社との取引で、それが売上の80%を占めるとなれば、その1社と取引がなくなった場合、即潰れるという事は誰でも分かるの。だが上手く事が進んでいる時こそ忘れてしまうものだ。

以前、私が在籍した広告代理店と入れ替わりで、外注業者として出入りしていたデザイナーがいた。本人に話を聴くと、月100万円の契約で、その代理店から発注された仕事は全て請ける。もちろん月によって発注数は増減するが、売上月額100万円は保証される。条件は社内に机を10万円で借りて常駐する事。
これを聴いてフリーランスになったばかりのデザイナーであれば、羨ましく思うかもしれない。なんて良い条件なのかと。
しかし長期的に見ると厳しい。これもプラットフォーマー依存と同じで、いつ切られるか分からないし、条件がいつ代わるか分からない。他社に新規営業活動をしても文句は言われないのだろうが、社内に常駐している以上、新規顧客獲得に向けての営業活動は出来ない。会社にとっては都合の良い囲い込み以外の何物でもない。会社の都合が悪くなれば切るだけだから。特にデザイナーは外に出ることも少ないし、営業とは正反対の職業なので、営業活動自体苦手な人も多い。切られたらすぐに新規の顧客を探そうにも無理。今彼がどうしているのか分からないが。

上手くいっている時こそリスク分散をする

これを読んで、以上の事をそんなの当たり前だろうと思うかもしれないが、儲かっている時、経営が上手くいっている時ほど忘れてしまう。「条件が悪くなるわけがない」「切られるわけがない」など根拠のない確信を持ちながら仕事をしている。私の周りにもそういう人間がたくさんいる。たまたま上手くいっているだけなのだ。
常に複数の働き口や契約先を得る。プラットフォームからいつでも抜け出せるように各比率を下げる努力を常にする事が必要だ。大変なことだが。

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