外注デザイナーから社内デザイナーにするとどうしてブラックになりやすいのか

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元々は社内リソースがないから外注に出す

 昨日こんなツイートを見ました。

 フリーランスという名の自営業者をやっていてこんな場面は日常茶飯事です。私に仕事の依頼する多くの理由はそれなりのクオリティーで安く済むからです。名前で仕事が取れると思っていないのでそれは構わないのです。複数人で運営している法人のデザイン事務所に依頼すると組織に依頼する安心感はありますが、それなりの費用はかかるし、何よりも個人なら通常の営業時間外でも気軽に連絡できるのもあるでしょう。ただしフリーランスの方が安く済むと言ってもやはり費用はかかります。
 今まで経験した中で、例えば毎月大量の広告を打っている物販会社があるとします。社内で広告制作できる能力がないので、外注に依頼していました。しかし売上が落ちてくるとそんな安いフリーランスですら外注出来る余裕がなくなります。しかし毎月の広告は打たないとそもそも売上が立たない。そうなると今いる非デザイナーの社員の誰かがやるか、またはデザイナーを新しく正社員かバイトで雇ってやらせるかの二択になります。(ものは言いようでインハウス・デザイナーなんて格好いい名前で呼んだりしますが。)非デザイナーの社員がやるには広告制作はハードルが高すぎるため、新しくデザイナーを雇うことにしました。

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外注は金がかかるから社内へ

 ここからが問題で安いフリーランスですら使う余裕がないので、新しく雇うデザイナーの給料は当然安い。安い給料で集まってくる求人はクオリティーが低い。この辺りは雇用主も分かっていて、最低限のクオリティーであれば給料が安いのだから仕方がないだろうとあきらめるのです。このデザイナーのクオリティーが低いのはその人の技術や能力が低いというよりも経験の浅さから来る事が多いでしょう。本来なら経験の浅いデザイナーは経験豊富なデザイナーの元について指導を受けるか、これは危険ですが思い切ってフリーランスになって直接お客さんからクレームを受けながら成長するかでしょう。しかし経験が浅いままデザイン事務所以外の場所で1人でデザイン制作作業をしていても「文字をもっと大きく」だとか「ここはもっと目立つように」だとか「青ではなく赤で」とか注文は受けるでしょうが、それは指導とは違います。何故そうしなければいけないのかまでは教えてくれないからです。もちろんデザイナー本人も言われた事をそのままやっているだけなので新たな提案も出来ません。物販会社としても社内デザイナーはこちらの注文は聴いてくれるが、クオリティーが低いままの広告を打ち続け、その結果さらに売上が落ちたり、またはブランドイメージも下がるでしょう。会社にとってもデザイナーにとっても良くない事なのです。 これはデザイン事務所や元々社内にデザイン部などの専門部署がある会社は別です。
 上記のツイートの内容に戻ると、大量に広告制作を要する会社内に1人だけ雇った経験の浅いデザイナー(達)は、外注として使っているデザイナーと違い定額の月給の中で、あらゆるデザイン制作業務を多量に任されるとなるとかなりブラックな勤務体系になるのは必然ではないでしょうか。

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デザインするという事の過程

 デザイン制作というのは完成があるようでないものです。プログラマーであれば要件定義書通りに作り客が望むよう正常に機能するようになればそれがゴールですがデザインにはそれがありません(だからと言ってプログラマーの方が楽だとかいうつもりは毛頭ありません。出来たと思ってレビューしてもらったらある一定の状況下で動かない。出来たと思ったら客から追加仕様があるなど普通ですので。)。
 チラシ1枚デザインするにも2~3案作りプリントアウトし全て壁に貼り眺めてみる。やはりA案の文字はもう少し大きくした方が訴求力が強まるのではないか。修正してプリントアウトしてまた壁に貼る。一度そのチラシ制作から離れてしばらく放置しておく。その間完全にチラシの事を忘れているのではなくコンビニで買い物をしている間に新たなアイデアがひらめく。そしてそのアイデアを反映修正してプリントアウトしてまた壁に貼る。これを締め切りまで繰り返すのです。私の場合ですが。端から見たら「こんなデザイン30分もあれば余裕だろ」というものでも実は多くの試行錯誤と修正の繰り返し作業の結果なのです。プロのデザイナーなら。なので1週間制作期間があるのならば1時間で出来ても締め切りギリギリまで「これで良いのだろうか」という自問自答の繰り返しです。lllustratorを使ってオペレーティングだけなら30分で出来るものでも実はデザインをするというのはほとんどの時間をアイデア出しや試行錯誤の時間に割いています。
 このような仕事の仕方をしているとサラリーマン・デザイナーの場合、時間をギリギリまで使うので当然終電までという事が珍しくありません。だからデザイン事務所というのは普通にブラック企業化します。世間ではブラック企業が話題になっているので最近はどうかわかりませんが、少なくとも私の在籍した数社は全て今で言うブラック企業でした。これが私のようなフリーランスの場合は終電や休日の縛りがないのでプライベートの時間も仕事の時間も分からなくなるほど仕事をしてしまうのですが…。夜中に突然アイデアがひらめきメモしておくとか。

まとめ

 デザイナーというのは時給換算すると相当な低賃金です。デザイン事務所に在籍しているデザイナーには身体を壊す人が多くいます。特に真面目で適度に手を抜くことが出来ない女性とか。会社の雰囲気で何となく帰りづらいというのも確かにあると思いますが、やはり自分で時間を決めて、無理してでもデザインを決めてしまったほうが良いように思います。なかなかそうもいかないでしょうが。まあフリーの私は時間のある限りより良くしようと今日も提出期限まで無限に修正を繰り返すのですが。

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